「遺言書」とは亡くなられた方が残された家族などに宛てた最後の意思表示です。もちろん、亡くなる直前などに家族や親しい方へ直接メッセージを伝えられる事もあると思います。それは故人と残された方との間ではとても重く、大切なことであると思います。

しかし、遺言書は亡くなられた方の死後に「法的な効果を発生させる意思」として、直接伝えられた気持ちとしてのメッセージとは異なる側面を持っています。そして、遺贈や死後認知など、遺言書と言う形で意思を残さなければ意思の実現ができない事柄もあります。

 

こちらでは、以下のメニューに沿って遺言書がどんなものなのか?や遺言の活用方法などをご案内いたします。

 〜遺言書の活用メニュー〜

◆遺言書とは

◆遺言書の内容

◆遺言書の種類

 

〜遺言書の活用メニュー その他〜

◇遺言書の検認

 

〜遺言書の活用メニュー 作成サポート〜

◇法律は私たちを守ってくれるのか?

◇作成サポート

 

※当事務所で行うサポート内容をご覧になりたい方はこちらへどうぞ。

 

遺言書とはどんなもの

相続は人が亡くなると自動的に始まります。相続が始まると法律で定められた事については法律に沿って進められますし、また相続を実行していくのは残された相続人です。残念ながらご自身は既に亡くなっていますので、相続に口を出す事もできませんし希望を伝える事もできません。

「私が亡くなった後の事は残った者にすべて任せる!」と言うのも潔くて悪くないかもしれません。しかし、もし自分が将来亡くなる事を考えた時、このように思う事だってあるかもしれません。

『代々伝わる土地は長男に受け継いでもらいたいなあ』

『お世話になったあの人にも少しでいいから財産を分け与えてあげたいなあ』

このような自分自身の希望は法律に沿った相続や相続人の間で話し合われる相続では実現する事ができません。

もし、自分が亡くなった後の相続について自分の希望を残しておきたい場合は、生前に意思表示をしておかなければなりません。その意思表示となるのが「遺言書」です。

 

遺言書って残さなければいけないの?

それでは遺言書は必ず残さなくてないけないのでしょうか?

「遺言書なんて何だか仰々しいし、自分の将来の事を考えて家族に意思を残すなんて照れくさいし、そもそも面倒くさい。死ぬ間際に一言伝えれば大丈夫でしょ?」

遺言書は必ず残さなければならないものではありません。遺言書を残さなくても相続は始まります。上記の心の声のように思われる方もたくさんいらっしゃるかとも思いますし、相続については法律にも決まっている事もありますので、放って置いても自然に始まります。勝手に財産を国が取り上げるというような心配は無用です。(相続人が全くいないなどの事情がある場合は違ってきます) そして、遺言書を残さなければならないという法律もありません。

 

遺言書を残す事をお勧めします

しかし、もし相続に関して何か希望がある場合、または残された人達の間のトラブルを避けたいと思われる方は遺言書を残す事をお勧めいたします。相続についても法律で決められた事があるように、遺言書の効力についても法律で決められています。という事は、遺言書に残した内容は法律によって守られる事になるのです(※)。つまり、自分の意思が死後にうやむやにされてしまったりする事がありません。このような理由により相続について自分の意思がる場合は遺言書を残す事をお勧めさせていただきます。

※内容によっては無条件に守られるというわけではありませんので、記載する内容に注意が必要です。

 

しかし、注意点も

それでは遺言書に残した内容はすべて実現するのでしょうか?また、遺言書はどのように残せばよいのでしょうか?(亡くなる間際のメッセージでは駄目でしょうか?) 法的に守られる遺言書はその効力も残し方もまた法律にて決まっています。何もかも自由とはいかないだけでなくいろいろなルールもあり、必要は要件を欠く遺言書は無効な紙切れとなってしまう可能性もあります。

自分の意思やせっかく作成した遺言書が水泡に帰す事にならないためにも以下に遺言書作成のポイントをご案内いたします。

少しでも遺言書作成のお役に立つことができれば幸いです。

 

遺言事項

遺言に記載する内容はどのようなものが良いのでしょうか。実は遺言に記載をして法律上の効果が発生する事項は、法律にて規定されております。

遺言書は自身の意思を残す事ができ、トラブルの回避に有効ですが、どんな事でも効力が発生するわけではありませんので、法律で認められた事項を踏まえて残しておく必要があります。以下に法律で認められた遺言事項をご案内します。

 

<相続に関する事>
①相続人の排除、排除の取り消し
②相続分の指定、指定の委託、特別受益者の相続分の指定
③遺産の分割方法の指定、指定の委託、分割の禁止、共同相続人の担保責任の指定
④遺留分の減殺方法の指定

 

<相続以外の遺産の処分に関する事>
⑤遺贈
⑥財団法人設立のための寄付
⑦信託の設定

 

<身分上の事>
⑧認知
⑨後見人、後見監督人の指定

 

<遺言執行に関する事項>
⑩遺言執行者の指定および指定の委任

 

何だか小難しいですね。。。 遺言書を残すのが嫌になってしまいそうです。。。しかし、全くすべてを盛り込む必要はありません。例えば「長男には土地を相続する」と言う場合は上記の③の「遺産の分割方法の指定」ですし、「お世話になった○○さんに●●万円を残したい」と言う場合は⑤の「遺贈」です。自分の意思や環境に応じて使い分けていけばよいのです。

 

なお、「家族仲良く円満に」などと言う遺言は遺言書に記載する事は問題ありませんが、法律で認められた事項ではありませんので、希望が叶うかどうかは相続人の方々に委ねることとなります。

 

遺言書の法定事項の詳しくはこちら

 

 

普通の状況で残す事が出来る遺言書は3つの種類(※)があります。それは「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」です。
それぞれに特徴がありますので、どのような形で意思を残したいかで遺言の方式を選ぶ事が良いでしょう。
しかし、逆に言うと普通の状況で遺言書を残す場合は必ずこの3つのどれかの形式で遺言書を残さなければならず、またそれぞれの要件を欠く場合は効力が認められませんので注意が必要です。

※普通の遺言3種の他に、緊急の時に残す事ができる「緊急時遺言」というものがあります。

 

自筆証書遺言

自筆証書遺言とはすべて自分の手で書き上げる遺言です。

特徴
 すべて自書により作成する遺言です。自身で作成し自身で保管するため秘密性が強く、遺言の内容が他人に知られる事がありません。しかし、自分一人で書き上げる場合、法定事項に逸脱した内容となってしまっている事に気づかず、結果的に効力のない遺言となってしまう危険性があります。また、保管も自身でおこなうため、相続開始後も相続人らに発見されず、事実上効力のない遺言書となってしまう危険性があります。

 

要件
遺言書の全文が自身の手書きで書かれている。(ワープロ等は不可) ※

・遺言書の本文部分は自筆で書かれている。(財産目録部分は自筆でなくても良い。)※
・署名と日付が自筆で記入されている。(日付は必ず具体的に。「○月吉日」等は不可)
・押印がしてある。

※平成31年1月13日に自筆証書遺言の用件が緩和され、一部が手書きでなくても有効となりました。

→詳しくはこちら「相続・遺言のルール変更(民法改正)



公正証書遺言

公証役場にて公証人に遺言内容を口述し、公証人に遺言書を作成してもらう遺言です。

 

特徴

 遺言の内容は公になってしまうが、公証人が作成するため内容も法定事項に逸脱することなく確実に作成できる。また、遺言書は公証役場に保管されるため所在が不明になることはなく、確実に意思が伝えられる遺言方法。公正証書遺言は検認が不要です。

 

要件
・公証人に口述して遺言書を作成。
・証人二人を用意する必要がある。(推定相続人や公証人本人やその事務員などは不可)
・手数料が必要。



秘密証書遺言

自身で遺言書を作成し、その存在を明らかにするために公証役場で公正証書とする方式です。

 

特徴

 遺言の内容を秘密にすることができ、しかも存在は明らかに出来る遺言方法。ただし、内容には公証人は関知しないため、法定事項に逸脱した内容の遺言であってもチェックはされません。

 

要件
・自身で遺言書を作成。(署名押印が必要。それ以外はワープロなどでの作成でも認められます。)

・遺言書に押印した印鑑で封筒を封印。
・証人二人を用意する必要ある。(推定相続人や公証人本人やその事務員などは不可)
・手数料が必要。

 

 

もう少しだけ相続と遺言のはなし

上記のように相続と遺言に関しては法律に定められております。この相続や遺言は直接的には民法に規定されています。相続は遺言を残さなくても被相続人が死亡した瞬間から当然に始まりますので、その時点より相続に関する法律が適用されます。

それでは相続が始まった時、法律は私たちの味方になってくれるでしょうか?答えは… 味方にもなり得るし、敵にもなり得えます。

 

法律とは

法律は実質的に平等となるようにと考えられて制定されています。然るべき関係者が相続人となる事ができるよう推定相続人の規定があり、実質的平等に財産が分配されるよう相続分が決められています。それでは法律に従い相続がされれば関係者すべてが平等で幸せになれるでしょうか?やはりそううまくは行きません。

理由は法律は個人の事情やそれぞれの家庭の事情は考慮されていないからです。

(それでは相続の法律なんで意味無いの?と思われるかもしれませんが、当事者の利害の調整などにはやはり法律での規定は必要不可欠です。ここではなるべく円満に相続をしたいとの思いを起点にご案内させていただきますね。)

例えば、長男の放蕩ぶりを見かねて次男が寝たきりの父親の世話をし続けたとします。しかし、数十年も姿をくらました長男が父親が亡くなったとたんにフラっと帰ってきて財産をよこせと言ってきました。これには弟は納得できません。しかし、法律はそのような事情は考慮されていないため、何の準備もなく相続が始まってしまえば次男の気持ちより長男の権利が勝ってしまうのです。

その後、この兄弟は上手く財産を分割できたのでしょうか?話合い(遺産分割協議)で解決?家庭裁判所へ調停?結局は裁判? …そして今後、家族の関係はどのなるのでしょう。

 

それではどうしたら良いのか

しかし、もし事前に相続の準備を行っていたならば話は異なってきます。上記に例であれば、父親は遺言を残すことで財産の分割を自身でコントロールする事ができました。お世話になったお礼にと遺産を多く残す事ができましたし、長男に全く相続をさせたくなければ相続人の「廃除」も考慮に入れることができます。この「廃除」は遺言でも行う事ができます。

これだけの準備でも相続がまったく違ったものになってきます。長男な遺留分限度内でしか相続できませんので次男の取り分が多くなりますし、もし長男の廃除がされた場合は長男は相続することができなくなります。このような結果であれば、数十年も放蕩を続けた長男と献身的に父親の面倒も見てきた次男の間に物質的にも一般心理的にも平等に近い相続が訪れたと言えるでしょう。

 

法律は私たちを守ってくれるのか?

それでは法律は私たちを守っくれるのでしょうか?上記の例では遺言があれば多少なりとも次男の尊厳は守られたように思われます。 しかし、どんなに優れた法律を作ったとしても「気持ち」が複雑に絡む相続では万能とはならないのでしょう。

しかし、それでも事前に準備をする事は相続をより良く終わらせるためには非常に有効な手段です。相続にはどのような規定があり、どのような遺言を残すことができるかを事前に把握する事は起こり得るトラブルを想定する事ができます。実際に遺言を残すなのどの準備は財産の整理と気持ちの整理の両面で効果を発揮します。

 

相続に関して法律は積極的に活用することできっと味方になってくれるでしょう。そして、相続で家族を守る事ができるのは、いずれは被相続人となる私たち自身です。自分のためにも家族のためにも是非とも法律を味方につけましょう。

 

遺言書の作成等のサポート

遺言書を残すことにはメリットがありますが、実際に残すとなると以外に大変かもしれません。もし、そのようにお考えの方がいらっしゃいましたら当事務所にて遺言書作成サポートをさせていただきますので、サポート内容の詳細をご覧になっていただければと思います。

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