突然相続が始まってしまった場合、心配となる事のひとつに相続税があります。相続税がかかるのか?いくらくらい払うのか?などなど、心配事はつきません。
こちらでは突然相続が始まってしまった時に絶対に知っておいて損は無い「小規模宅地の特例(相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例)」についてご案内いたします。
「小規模宅地の特例」とは
小規模宅地の特例とは相続財産の中に自宅や事業に使われていた「宅地」があった場合、その宅地については通常の評価額より減額して相続財産を評価する事ができる制度です。これは亡くなられた方と一緒に住んでいた相続人等が相続税を支払うために土地を処分しなければならなくなるような事を避けるために定められた特例です。
この特例を適用する事により、以下の例のように相続税を払う必要が亡くなる場合も出てくるでしょう。
<例>
・相続人:子供2名
・相続税の基礎控除額3000万円+600万円×3名=4800万円
・土地:4000万円 家屋:500万円 その他の財産:1500万円 ⇒総財産:6000万円
◇通常の評価の場合
総財産6000万円-基礎控除額4800万円=1200万円 ・・・> この部分に相続税がかかる
◇「小規模宅地の特例」を適用
※土地の評価額:4000万円×0.2=800万円
総財産2800万円-基礎控除額4800万円=-2000万円 ・・・> 相続税がかからない
上記の※のように小規模宅地の特例を適用すると土地の評価額を減額する事ができます。
要件
「小規模宅地の特例」を受けるには以下の要件を満たさなければなりません。
・対象となる宅地の要件
・適用となる宅地の面積の要件
・取得する人の要件
・継続要件の要件
以下にそれぞれを詳しくご案内します。
対象となる宅地の要件
対象となる宅地は以下の4つに分類されます。
・特定居住用宅地等
・特定事業用宅地等
・特定同族会社事業用宅地等
・貸付事業用宅地等
「特定居住用宅地等」と「特定事業用宅地等」
小規模宅地の特例を適用させることのできる宅地は居住用宅地と事業用宅地があります。(適用が可能な宅地を特定居住用宅地、特定事業用宅地といいます) 居住用宅地とは相続財産の中に住まいとしての家屋が建てられている土地がある場合で、事業用宅地とは相続財産中に事業用いている土地です。
なお、要件を満たした一定の法人の事業(貸付事業を除きます。以下同じです。)の用に供されていた宅地等を「特定同族会社事業用宅地等」と言い、こちらも小規模宅地の特例の対象となります。
※多くの方が心配される住まいとしての土地は「特定居住用宅地等」に該当することが多いと思います。特定居住用宅地等について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
貸付事業用宅地等
上記の事業用宅地のうち以下の事業に該当するものを貸付事業用宅地等と呼び、事業用宅地と区別をしています。
・不動産貸付業
・駐車場業
・自転車駐車場業
適用となる宅地の面積と減額率
対象となる宅地のうち、その土地のすべてが減額の対象となるわけではありません。なぜならこの制度は小規模の宅地が相続財産となった場合の保護を目的とする側面もあるため、あまり大きな土地を持っている場合、ある一定以上は対象外となります。
適用の範囲は「特定居住用宅地等」の場合は330u、「特定事業用宅地」の場合は400uまでとなります。この広さを超えた部分は通常の評価額となります。
この対象の広さがどの位の減額率となるかはどちらも80%が減額されます。つまり、広さが190u(つまり330u以下)で通常の評価額が3000万円の土地は600万円と減額して評価できます。
また、「貸付事業用宅地等」は200uまでの広さが対象となり、減額率は50%です。
対象となる相続人の要件
前項までは対象となる土地についての要件をご案内いたしましたが、土地についてのみでなく、相続人がどのような者かでも対象となるかどうかが決まってきます。
特定居住用宅地等
この場合は@「配偶者」、A「被相続人と同居していた親族」、B「被相続人と別居していた一定の親族」です。
@は亡くなられた方の配偶者です。
Aは亡くなられた方と同居していた親族が土地を相続する場合です。
Bは@Aがおらず、また亡くなられた方と同居はしていなかったが相続開始前3年以内に自己又は配偶者の持ち家に居住した事の無い者です。
特定事業用宅地等、貸付事業用宅地等
特定事業用宅地等と貸付事業用宅地等の場合は相続人が親族である事が条件です。
特定同族会社事業用宅地等
特定同族会社事業用宅地等の場合は相続人が同族会社の役員である親族である事が条件です。
継続要件の要件
継続要件とは上記の相続人の要件に当てはまる者の中で、継続して相続した宅地を所有しなければならないと言う要件です。継続要件に当てはまる相続人は小規模宅地の特例を適用させ、評価額を減額させた後、一定期間はその土地を所有しなければならないと言う事です。
特定居住用宅地等の場合
上記のA「被相続人と同居していた親族」、B「被相続人と別居していた一定の親族」は以下の継続要件を満たさなければなりません。
○相続発生の時から相続税の申告期限まで引き続き当該土地を所有しなければならない。
特定事業用宅地等、貸付事業用宅地等の場合
この場合は以下の継続要件を満たさなければなりません。
○相続税の申告期限までに被相続人の事業を引き継いでいる
○相続税の申告期限までその宅地を所有している
○相続税の申告期限まで事業を営んでいる
特定同族会社事業用宅地等の場合
この場合は以下の継続要件を満たさなければなりません。
○相続税の申告期限までその宅地を所有している
○相続税の申告期限までその同族会社が事業を営んでいる
相続税の申告
小規模宅地の特例を利用する場合、相続財産が結果的に相続税の申告が必要ない額であったとしても相続税の申告が必要となりますので注意が必要です。
相続手続きの相談
当事務所では相続の手続き代行の際、相続財産の評価と共に相続税のアドバイスを行っております。相続の手続きや相続税に不安がある方はお気軽にご相談ください。
※お客様の個別の税務計算や税の申告の代行は行っておりませんのでご了承ください。
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練馬相続相談センター(豊島行政書士事務所)
代表行政書士 豊島史久
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