日本でペットを飼っている人の割合は30%を超えると言う統計があるようです。近年のペット、特に犬や猫などはペットの域を超え、家族の一員であると言う認識の飼い主も増えていることでしょう。そのようなペットについての遺言書の書き方をご紹介します。もし可愛がっているペットの将来に何かしらの不安を抱いておられる方はペットの将来を考え、遺言書を作成してみるのはいかがでしょう。しっかりと対策を行っていなかったためにペットに思わぬ不幸が訪れるかもしれません。

 

ペット自身が財産を相続するはできるの?

ペットに対して財産を残すなどの相続をすることはできるのでしょうか。 残念ながらペット自身が相続や遺言にて財産を受取るということはできません。これは法律にて人以外の者が財産を所有すると言う事は認められていいないためであり、ペットの対して遺言書を残したり、相続させたりする希望はかなえられません。これは法律上では「人」しか財産を所有することが認められていませんので、ペットが犬でも猫でもその他どのような動物であろうと変わりはありません。

それではどのようにして自分が亡くなった後のペットの世話を遺言書に残すのでしょうか。それは誰か信頼できる人にペットの為の財産管理や世話を任せることによって、ペットの将来を見てもらうのです。このときその方に「ペット自体の所有権」も相続させることとなります。以下に遺言書にてペットの世話を任せるための遺言書の書き方をご紹介いたします。

 

ペットに関する遺言書の書き方 〜例文と解説〜

例文1> 〜ペットの世話を依頼する〜

遺言者は遺言者の愛犬プチ(ロングコートチワワ・メス)を甲野花子に遺贈します。甲野花子には愛犬プチを大切にし、世話を誠実に行ってくれるよう希望します。愛犬プチが亡くなった後は手厚く埋葬し、供養をお願いします。

<解説>

◆ペットは動物ですので、必ず飼い主(所有者)がいます。もし所有者がいなければ野良犬(猫)となってしまいます。そこで自身が亡くなった後に野良犬(猫)などになってしまわないよう、所有権を誰かに承継しなければなりません。もし家族が相続人であれば家族が引き続き世話をすることでしょう。しかし、もし相続人が動物嫌いであったり、まともな世話を頼めないようであれば、第三者にペットの所有権を遺贈させる必要がを考えるべきです。

また、自分に相続人がいないような場合は遺言書がなければペットの世話をしてくれる人を指定しておかなければ必然的に野良犬(猫)等になってしまいます。ペットについて何か不安があるのであれば遺言書を残しておくことをお勧めします。
 

◆相続や遺贈についてペットの所有権を移転させる事は可能ですが、その新たな所有者が遺言者と同等の愛情を注ぐ事ができるかどうかは別問題です。遺言書の例では誠実な世話と死亡した後の埋葬までを希望していますが、この部分は法定事項ではありませんので、残念ながら新たな飼い主に対して強制をすることはできません。また、「誠実な世話」とある誠実とはどのようなことなのかは人それぞれで異なりますので、なるべく自分と価値観が近い方へ遺贈するか、世話の内容などを具体的に記載するなどの工夫も必要です。


 

例文2> 〜預金の遺贈と共にペットの世話を依頼する(負担付き遺贈)〜

第○条 遺言者は遺言者の下記の財産を甲野花子に遺贈します。

   ①愛犬プチ(ロングコートチワワ・メス)

   ②○○銀行△△支店の遺言者名義の預金のすべて。

 

第○条 甲野花子は上記遺贈を受ける負担として、愛犬プチを大切にし、世話を誠実に行う事とし、愛犬プチが亡くなった後は手厚く埋葬し、供養をしなければならない。

<解説>

◆こちらの例文2では、愛犬の遺贈と共に預金の遺贈を行う事により、愛犬の世話を誠実に行い埋葬することを負担とする(義務化する)ことで、例文1での問題点を解消しています。つまり、「預貯金をあげる代わりに愛犬プチを誠実に世話をしてね。そうでなければ預貯金はあげませんよ」ということです。
 

◆ただし、遺言書による遺贈は、受贈者の意思にて自由に拒むことができます。そのため、もし受贈者(例では甲野花子さん)が遺贈を拒んだ場合、受遺者は預貯金も取得できなくなりますが、同時に愛犬の遺贈、世話、埋葬なども実現されなくなってしまいます。その場合、もし他に相続人などがいなければ、愛犬に愛情を注いでくれる飼い主は不在となってしまいます。
 

 ◆上記の問題を更に確実なものにするためには「負担付死因贈与契約」とする事が考えられます。また、遺贈する相手の方と生前より意思の疎通を行い信頼関係を築いておく事も対策のひとつでしょう。負担付死因贈与契約は生前に相手方と事前に契約を結んでおくものであり、一方的に行う遺言よりもより確実に負担部分(つまりペットの世話など)を実現することが期待できます。 

 

例文3> 〜遺言執行者を定めておく場合〜

第○条 遺言者は遺言者の下記の財産を甲野花子に遺贈します。

    ①愛犬プチ(ロングコートチワワ・メス)

    ②○○銀行△△支店の遺言者名義の預金のすべて。

 

第○条 甲野花子は上記遺贈を受ける負担として、愛犬プチを大切にし、世話を誠実に行う事とし、愛犬プチが亡くなった後は手厚く埋葬し、供養をしなければならない。 

 

第○条  遺言者は本遺言の遺言執行者として、以下の者を選任する。 
    住所    東京都練馬区○○町 ○丁目○番○○ 
    職業    行政書士 
    氏名    甲山 乙男 
    生年月日 昭和○年○月○日

<解説>

◆遺言執行者とは遺言書に書かれた事項を実現するための権限を持った人です。遺言執行者がいない場合、遺言書の内容を実現する義務を負うのは相続人となり、遺言書を実現するには相続人の協力が不可欠となります。しかし、上記の例のような第三者への遺贈の場合、相続人の協力を得られなければ遺言をした人や、ペットの世話を任された人の意思によらず、遺言書の内容が実現しない可能性もあります。

また、受遺者(新しい飼い主)が預金を取得したにも関わらず負担を履行しない(誠実な世話をしない)ことも考えられます。

このような場合に備えて遺言執行者を指定しておくことを考えてみても良いでしょう。遺言執行者は遺言書の内容を実現するために権限を与えられた人のことで、遺言書の中に誰々を遺言執行者とする旨を記載しておけば権限が与えられます。例文では専門家が遺言執行者となっていますが、信頼できる方がいらっしゃれば誰でも遺言執行者に指定することができます。

 

 ペットに関する遺言書の問題点

◆ペットを誰に遺贈するのか(誰が所有者になるのか)

上記でご案内しましたように、ペット自体は法律上は「物」であり、誰か人に所有されなければ野良犬(猫)等になってしまいます。

もし自分には相続人もおらず、ペットを任せられる様な人もいない場合、自分が亡くなったあとはペットを長期に世話をしてくれる業者や施設(ペットホテル)などに入れて欲しいと願う方もいらっしゃいます。しかし、そのような施設に入れるには何らかの契約が必要で、その契約を行うことができるのはペットの飼い主(所有者)です。つまり、ペットの世話を業者にしてもらうことを希望しても、ペットの飼い主(所有者)がいなければその希望も叶いません。

生前に信頼のおける業者や施設を見つけ、その業者や施設が費用を支払っておけばペットの飼い主(所有者)として世話をしてくれるのであれば良いのですが、そのような業者がいなければ、ペットの飼い主(所有者)になってくれる人が必要です。相続人もおらず、ペットを任せられる様な人もいない場合、ペットの世話に関する遺言などは法的な関係性をしっかり理解し準備しなければならず、簡単な作業ではありません。


 

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