有効な遺言(いごん)と無効な遺言(ゆいごん)

遺言(ゆいごん)と言う言葉は一般的ですが遺言と書いて「いごん」と呼ぶ場合があることをご存じですか?相続や遺言について法律の専門家の講義を受けたり、また相談されたりする場合、専門家は遺言のことを「いごん」と言うことがおおくありますので、知っているという方もいらっしゃるでしょう。
こちらでは豆知識としての「ゆいごん」と「いごん」についてをご案内し、言葉の意味を超えて気をつけるべきことをご紹介いたします。

 

 

「遺言(いごん)」と「遺言(ゆいごん)」とは?

 

遺言や遺言書のことを「ゆいごん」「ゆいごんしょ」と言うのが一般的ですが、これらのことを「いごん」「いごんしょ」と表現することがあります。「いごん」は主に法律の専門が使用していますが、これはなぜなのでしょう?

ここである国語辞典を引用してみますとこうあります。

 

【遺言(ゆいごん)】

@死後のために生前に言い残す言葉。「親の遺言」

A自分の死後に法律上の効力を発生させる目的で遺贈、相続分の指定、認知などにつき、一定の方式に従ってする単独の意思表示。▼法律用語として習慣として「いごん」と読む。

 

たまたま手元にある辞書を引いてみましたが丁寧な説明でこれですべて解決したような書き方でした。。。が、もう少し補足で説明させていただきます。

 

まず「遺言(ゆいごん)」とは自分の生前に死後のことについて残される人達に対して言い残すことを総じて称するもののようです。生前に常に公言していることから亡くなる寸前に床に伏した状態で言い残すことも「遺言(ゆいごん)」と言って良いですし、口頭であっても書面であってもビデオレターや録音テープなとでも「遺言(ゆいごん)」には変わりないようです。つまり、大きな意味で「死後のために生前に言い残す言葉」でということであるようです。

 

それでは「遺言(いごん)」とはどうゆうものを指すのでしょうか。それは上記にて引用した辞書にあるように
「法律上の効果を発生させる目的で」というところが重要です。民法という法律には遺言についての規定があります。例えば第967条以降に書き方のルールが記されており、そのルールに則った遺言書でなければ法的な効果はありませんよ、と言っています。そのため、自分が死後のために何か言い(書き)残したいと思い、さらに法的な効果を持って実現させたいと思う場合はこの民法のルールに則った遺言書を作成しなければなりません。

このように「死後のために生前に言い残す言葉。」である「遺言(ゆいごん)」の中でも法的な効果を持たせたいと思う遺言をするためには民法のルールに則った遺言をしなければならず、法律に携わる人の間ではこれを「遺言(いごん)」と表現されるのです。

 

一般的な「遺言(ゆいごん)」があり、その中でも法律に沿った内容の遺言を「遺言(いごん)」と言うわけです。

 

ただし、これは国語としてのルールではなく、引用させて頂いた辞書にもあるように法律家の間での慣習です。法律化でも特別に区別に意味は無いと思われる方は「遺言(ゆいごん)」と表現される方もいらっしゃいますし、言葉としての「遺言(ゆいごん)」と「遺言(いごん)」は豆知識程度の区別で構わないと考えます。

なお、本ページでは便宜上、大きな意味での遺言を「ゆいごん」、法的な効果のある狭い意味での遺言を「いごん」と統一させていただきます。

 

 

 

言葉の意味ではない本当に重要な区別とは?

言葉の意味としては豆知識程度で良い「遺言(ゆいごん)」と「遺言(いごん)」ですが、言葉の意味ではない部分ではとても重大な意味を持っています。それは「法的な効果が発生するかどうか」です。これはとても重要です。遺言をする人はもちろんですが、遺言をされる人、後に残される方もしっかりと区別をして受け止める必要があります。

 

大きな意味での「遺言(ゆいごん)」は亡くなる前に残される人に口頭で伝えられることも多々あります。それは個別に密室で伝えられることもあり、また相手によって内容が異なったり矛盾する場合もあるかも知れません。しかしこれらの遺言は法的な意味を持つ「遺言(いごん)」の観点からすればすべて「無効な遺言」として片づけられてしまいます。有効な遺言とは法的なルールに則った遺言書のみとなります。

 

しかし、亡くなった方からの口頭でされた遺言であっても、伝えられた人にとっては、法的な意味よりも亡くなった人の思いを実現させることの方が重要であると考えてしまうケースがあります。また、伝えられた方にとっては「私に伝えられた内容こそが真実の遺言である」と考えてしまいがちです。このような場合、伝えられた方にとっては口頭での遺言と法的に有効な遺言の内容に矛盾があっても、心情的に口頭の遺言が優先されてしまうことがあり、法的に有効な遺言を受け入れることが出来ないでしょう。

このような場合、相続人間での意見の食い違いなどが発生し、遺言書があるにも関わらずその実現やその他の手続きに支障が出てしまう可能性があり、予期せぬトラブルを生んでしまうかも知れません。

 

 

 

法的に有効な遺言書を残すべきか?

 それでは遺言を残す人をどのようなことに気をつけるべきでしょうか?ぜひ有効かつ執行が容易な遺言書を残してください、とは真実のひとつですが、現実にはこの一言で片づけてしまうほど簡単ではないでしょう。身体が弱り死期が近いと感じられる方は弱気になり、身近な人に死後のことについて話したくなるでしょうし、普段は会えない親族が見舞いに来ればありがたく感じて死後のことをよろしく頼むと伝えたくなるかもしれません。それが法的に有効であるか無効であるかを検討することはもうその時点では遺言をされる方には無力であるかもしれません。それにそのような状態では法的に有効な遺言書の作成も難しいでしょう。

法的な効果のある遺言書はとても便利で有効的です。しかし、家族円満、トラブルの回避といった観点でもけして万能なものではありません。法的に有効な遺言書を残すべきか?の答えはひとそれぞれの判断が必要なようです。

 

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