日記20141221 相続人が海外在住とき(サイン証明と手続き)

もう2014年もあと10日です。今年一年は充実した一年だったか、やるべきことをしっかりとやったか、と毎年反省してしまいます。来年は自身を持って充実した一年だったと言える年にしたいと思います。(もちろん今年も充実し一年でした!)

ところで、今年は後半になって次のような相続手続きの仕事がいくつか重なりました。それは相続人の一人が海外に在住で、印鑑証明を取れないという件です。私は恥ずかしながら海外に行ったことがなく、海外に住むという実感がないのですが、そう言えば私の弟はカナダにて永住権を取り暮らしています。
これからは海外がもっと身近になることですから、私のような海外に縁がない方でも、相続人が海外にいらっしゃる場合の手続きについてお話いたします。

 

 

<印鑑証明とサイン証明>

相続の手続きに必ず必要となってくるのが印鑑証明書です。遺言書がある場合は印鑑証明書が必要となる相続人は限定されますが、遺産分割協議を行う場合は相続人全員の印鑑証明書が必要となります。必要となる場面は相続財産の名義変更の際です。不動産の場合は登記申請書に遺産分割協議書と併せて添付が必要ですし、金融機関の名義変更も遺産分割協議書や金融機関の相続届に添付しなければなりません。

 

ところで海外在住の方は印鑑証明書を取得することができないのでしょうか?海外在住とは行っても国籍は日本ですので戸籍などはしっかり取得できます。この点は印鑑証明書は住民票とセットで作成されるものなので、住民票が日本に無ければ印鑑証明書も日本では作成できないことになります。

 

それでは日本で印鑑証明書を取得できない場合はどのようにしたら良いのでしょう?この場合、印鑑証明書に代わる「署名証明」を取得し、印鑑証明書に添付する書類に添付することとなります。署名証明とは所謂「サイン証明」と呼ばれるものです。こちらではサイン証明の方が一般的な呼称ですので、サイン証明と呼ばせていただきます。

 

 

<サイン証明を添付する書類へのサイン>

印鑑証明書が添付できない場合、本来は実印を押す書類はどのようにしたら良いのでしょう?印鑑証明書は実印を押した人が実印の持ち主本人であることの証明です。その印鑑証明書を添付できないのであれば書類に実印を押す意味も半減してしまいます。

サイン証明を添付する場合の書類(遺産分割協議書や金融機関の相続届)には実印の押印は不要です。相続人が書類にサインをするだけで構いません。ただし、サイン証明の取得方法には2種類あり、それによりサインの仕方も変わってきます。 

 

 

<サイン証明の取得>

印鑑証明書は役所にいって手続きをすれば印影が記載された証明書が発行され、それが印鑑証明書となります。

サイン証明書はその国の領事館で取得することが可能です。形態としては印鑑証明書と同じような形の「サインを単独で証明する証明書」もありますが、もうひとつの形態があり、これはサインを「領事の面前でサインを行い、領事がそれを見て確かに本人がサインを行った旨を証明」するものです。前者は印鑑証明書のように紙面一枚にサインが証明されております。後者はサインをした書類と併せて綴り込まれ、サイン証明とサインをした書類に割印を押されます。

 

サイン証明は領事館やそれに類する施設での発行ですので、取得のためには少し手間がかかります。領事館等が近所にない地域にお住まいの方は遠出をしなければなりません。しかし、サイン証明でも「単独のサイン証明」の取得は比較的簡単です。サインをすべき書類を持参する事無く取得できますので、いつでも取得が可能です。

しかし「領事の面前でのサイン証明」はすこし手間がかかります。サインをすべき書類に領事の面前でサインをしなければならないため、遺産分割協議が終わった後でなければ取得ができません。遺産分割協議のために帰国される方は協議が終わったあとに遺産分割協議書を持って領事館に行かなければなりません。帰国しない場合でも遺産分割協議書は他の相続人も署名押印しなければなりませんので、郵送しなければなりません。

 

 

 

<相続の手続き>

サイン証明を取得するとあとは相続財産の名義変更です。ここでの注意点は「単独のサイン証明」と「領事の面前でのサイン証明」について、金融機関や登記所に指定があることです。

 

金融機関では 「単独のサイン証明」の添付があれば遺産分割協議書や相続届にはサインのみで手続きが可能であるという所が多数です。これはとても助かります。 「単独のサイン証明」は紙一枚ですので使いまわしが効きます。金融機関などでは印鑑証明の場合でも原本は返還してもらえます。サイン証明も原本を返してもらえば他の金融機関でも使いまわしが効きますので、一枚取得していればいくつかの金融機関の手続きを済ませることが可能です。(ただし、中には原本の返還をしない金融機関もありますので注意が必要です。必ずサイン証明の取得前に確認が必要です。)

 

逆に登記所では「領事の面前でのサイン証明」が必要となります。登記申請書には遺産分割協議書を添付しますが、遺産分割協議書について「領事の面前でのサイン証明」の添付が必要ですので、金融機関で利用したサイン証明を使いまわすことができません。

 

 

 

相続人が海外に在住されている場合、相続の手続きも面倒となります。お葬式の際に帰国される間に段取りができれば良いのですが、そう簡単に行くものではありません。突然のお葬式であれば事前に知識を得ることは困難ですし、そうでなくても帰国の間はただでさえバタバタするでしょう。その後に一旦海外に戻られてから相続手続きをするにも、改めて帰国をするのか、書類は郵送でされるのかで手間も違います。相続人が全員国内に住まわれている場合でも遺産分割協議は大変であることを考えれば、海外に住まわれている方が遺産分割協議を行うのは本当に大変です。

 

 

ところで、預貯金等の名義変更の手続きの仕方は各金融機関により異なっています。各金融機関で相続届なるものが存在し 、その書き方のルールも異なります。この相続届ですが、金融機関毎でルールが異なるのは利用者にとってはかなりの大きな負担となります。私は複数の金融機関で多くの手続きをしてきたので比較もし易いのですが、金融機関ごとにルールが違いのはとても大変です。手続きをやり慣れた私がそう思うので、一般の方はもっと面倒だと感じるに違いありません!(逆に一回限りの相続手続きなので、こうゆうものだと不満を抱かれないのかもしれませんね。)

 

金融機関は可能な限りで融通の利く手続きを認めて欲しいと思います。相続人の一人が海外におり、遺言書が残されている場合でも相続人の印鑑証明(サイン証明)の提出が必須であるような金融機関もありますが、遺言書があるので相続財産の帰属は明らかなのですこしは融通を利かせて、相続財産を取得される方のみの印鑑証明のみで手続きをさせて欲しいものです。そして、そのような金融機関は相続届の書き方もとても厳密で、記載間違いは相続人全員の訂正印を要求します。修正の度に海外へ相続届を送らなければなりません。

 

相続手続きは被相続人の財産を相続人に移動させる手続きですので金融機関もそれなりに慎重になるのは当然です。しかし、相続人に不要に負担を掛けるのはどうかと思います。大手の金融機関のほとんどは手続きする側の用意する書類に応じていろいろと融通を利いてくれることが多くあります。しかし、相続届には絶対に相続人全員の署名押印をしなければならないなどのルールはとても相続人には負担です。相続人全員が仲良く協力的である場合ばかりではありません。相続人全員が暇であることは稀です。金融機関は複数あり、それぞれが別の会社であることを鑑みれば当然なのかもしれませんが、相続人のことを考慮すればもっと使いやす手続きにすべきではないかと思うこともたまにあります。

 

 

途中は説明臭く、最後は愚痴になってしまいましたが(笑)、相続手続きは面倒なことが多くあります。私はこの手続きを専門としていますので慣れていますが、一般の方が自身で行う際はどうしているのでしょう。サイン証明を取得し、不動産の名義変更をし、金融機関の手続きをし、私だったら諦めてしまいそうです。。。

 

、と言うところで、今回の日記はこのあたりで。

また来年もよろしくお願いいたします。みなさまが良いお年でありますよう願っております。

 

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