この遺言書は有効?無効?どう判断する

遺言書を見つけた場合、またこれから書こうとする場合、その遺言書が有効なのか、または無効となってしまうのかは気になるところです。無効な遺言書を作成してしまっているのにそれに気付かず安心してしまう、また有効/無効を当事者が勝手に判断してトラブルになってしまったり…、このような事を避けるために遺言書の有効/無効がどのように判断されるかを知っておきましょう。

 

 

有効か無効かの判断

この遺言書が有効なのか無効なのか?という相談は良くあります。やはり遺言書が有効かどうかは関係者にとってとても重要事項です。それでは実際に有効か無効かはどのように判断するのでしょう。それは「明らかに無効である遺言書以外は裁判で判断される」となります。

以下に有効か無効かの判断基準をご案内します。自分で書く自筆証書遺言と公証役場でつくる公正証書遺言とでは有効か無効かの判断では見方が変わってきますので、その別でご案内いたします。

 

 

 

自筆証書遺言の判断

自筆証書遺言は自身の手で書きますので人それぞれの遺言書が出来上がります。そのため有効か無効かについてはより困難な場合が多くあるでしょう。

 

様式を欠くために無効な例

自筆証書遺言は以下の条件が揃わなければ有効な遺言書とされません。

@すべてが自書である

A署名押印がある

B日付が記載されている。

C修正されている場合、様式に従って修正されている。

 

これらの記載のない遺言書は有効であるとはみなされません。そのため、もしこれから遺言書を書こうとする場合、または遺言書を執行する場合などは上記の点を有効無効の基準としてください。

 

 

内容について無効な例

遺言書はどのような内容でも記載する事ができます。しかし、法的に効力が発生するかどうかはしっかりと法律にて定められています。法律で定められた遺言事項は以下の様なものがあります。

@相続人の排除、排除の取り消し
A相続分の指定、指定の委託、特別受益者の相続分の指定
B遺産の分割方法の指定、指定の委託、分割の禁止、共同相続人の担保責任の指定
C遺留分の減殺方法の指定

D遺贈
E財団法人設立のための寄付
F信託の設定

G認知
H後見人、後見監督人の指定

I遺言執行者の指定および指定の委任

 

上記の中には馴染みのない言葉などもあるかと思いますが、遺言書はこれらの内容以外のことを遺言書に記載しても法律上の効果はありません。もちろんこれ以外のことを記載しても遺言書全体が無効となってしまう訳ではなく、有効でない部分のが無効であると判断されます。

 

 

認知症、判断能力の低下

遺言書について質問が多い事項として遺言者が認知症であったり、また一時的に判断能力が低い時に作成された遺言書の有効/無効です。これは公正証書遺言の場合と併せてご案内致しますので、本ページの下の欄をご覧ください

 

 

その他の無効な例

例えば遺言書が偽造された場合です。本人は全く遺言書は残していないが他人が本人が遺言書を書いたように偽造した場合、この遺言書は当然に無効です。また、本人の残した遺言書の一部を他人が書き換えたりした場合も無効です。しかし、相続人の間で遺言書が本物か、または偽造かに意見が対立してしまった場合、最終的な判断が裁判での判決となります。

 

 

※注意点

明らかに無効な遺言書はやはり無効ですので、署名押印がされていない遺言書は無効であると考えられます。しかし、遺言者はしっかり記載していたにも関わらず鉛筆での記載であったため、遺言書を良く思わない人が日付や署名を消してしまった、と言う事は無きにしもあらずです。この場合、当然にはその遺言書は無効ではないでしょう。しかし、有効であることを証明しなければなりません。そして有効であることを認めてもらうには裁判所の判決が必要となる場合もあります。

本当に明らかな無効であれば当事者間で無効として扱っても差支えは無いかもしれませんが、有効か無効かに疑問が残る場合は専門家に相談してみましょう。

 

 

 

公正証書遺言の判断

公正証書遺言は公証人が遺言者から意思を確認して作成します。公証人は法律の専門家ですので手続きに従って作成された公正証書が無効となることはほとんど無く、安心できます。また、原本は公証役場に保管されるため偽造の危険もありません。過去には「遺言者から内容を聞く手続きに不備があった」「証人の立ち会いに不備があった」と裁判で無効となった例がありますが、その判決を踏まえた対応がされるので、やはり無効な遺言書が作成される危険性は少ないでしょう。

しかし、以下にご案内します「認知症、判断能力の低下」の場合は注意が必要です。いかに公証人でも遺言者に判断能力がしっかり備わっているかどうかを判断することはできないからです。

 

 

認知症、判断能力の低下

自筆証書遺言でも公正証書遺言でも注意なければならない事は遺言者が・認知症や判断能力の低下がある場合です。遺言者が遺言時に「遺言能力」が無ければその遺言書は無効となります。

難しい点は「認知症であれば即ち遺言能力が無い、と言う訳でない」という点です。遺言能力は遺言の内容、遺言当時の遺言者の状態など総合して判断されますので、認知症の方が作成された遺言書であっても必ず無効となるわけではありません。裏を返せば信頼のおける公正証書遺言であっても後の裁判にて認知症であり判断能力が低下していたことを理由に無効となった判決がいくつもあります。

 

上記のように認知症の方であっても有効な遺言書を作成する事が可能です。しかしそれには最低限の準備が必要です。

 

 

遺言者の状態を考慮する

認知症の症状に波があるなどの場合はなるべく軽い時期に遺言書を作成するようにしましょう。遺言書は本人の本当の意思を残すべきものなので、なるべく落ち着いた時期に作成しましょう。

 

 

医師の診断書を取っておく

客観的にどのような容体であるかを証明するために主治医の診断書を取っておくことがお勧めです。もし遺言書の効力に争いが発生した場合に遺言能力があったことの証拠のひとつとなります。

ただし、診断書はあくまで認知症や判断能力についての診断であって遺言能力がの有無の証明にはなりません。お医者さんも遺言能力の有無を診断書に書くことはできません。診断書が添付してある遺言書であっても裁判にて無効となる可能性があることもご承知ください。

 

 

公正証書遺言+診断書であっても100%有効とは言えない

遺言書が有効か無効かをご心配される方の中に公正証書遺言に医師の診断書を添付したのだから絶対に大丈夫であると考えておられる方もいらっしゃいますが、この状態でも100%有効では無いことを把握しておきましょう。最終的な遺言書の無効は裁判にて決まりますので、公証人が判断するものでは無いことに注意が必要です。

しかし、公正証書遺言+診断書であれば簡単に無効となるわけではありません。また無効の判決が出るまでは有効として取り扱って問題ありません。

 

 

※まめ知識

公証人は公正証書遺言を作成する際、明らかな場合を除き、遺言能力が無いから公正証書は作成できません、と断ることはないようです。これは公証人が遺言書の作成を断ることにより遺言者が遺言をする機会を失わせてしまう事は、遺言者にとって損失になるとの考えからのようです。それぞれの公証人の判断にもよりますが、このような事情があるということを知っておくと公正証書遺言を作成する際に参考となるかもしれません。

 

 

遺言書に関するサポート

遺言書は自身の財産の行方を決定するための有効な書類となり得ます。その大きな力を持つ遺言書の作成や判断は慎重に行うべきと考えます。当事務所では遺言書に関する作成やチェックのサポートを行っておりますのでお気軽にご相談ください。

 

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