遺留分減殺請求権 請求したい・請求された時の対策

遺言書を書くとき、遺留分についてを理解していなければ思わぬトラブルを招きます。相続手続きが開始されたとき、遺留分を知っていなければ自身が取得する相続財産が減ってしまうかもしれません。また、相続人の誰かから遺留分減殺請求を受けるかもしれません。
相続を語る上で決して無知でいることができない遺留分を詳しくご案内いたします。遺言書を書くとき、相続が開始したあと、すべてにおいて参考にしていただきたいと思います。

遺留分のことを考えなくてはならないとき

遺留分のことを考えなくてはならないときはどのようなときでしょう。以下に主な4点を挙げてみました。

①遺言書を書くとき             (→詳しくはこちら

②生前に財産を贈与するとき         (→詳しくはこちら

③遺留分が侵害された時を知ったとき     (→詳しくはこちら

④遺留分を侵害していることを知ったとき   (→詳しくはこちら

①②は被相続人の立場からみた遺留分です。被相続人が生前に行う行為にて相続人の遺留分を侵害してしまうかもしれません。この場合は相続人の遺留分を侵害しないような対応、または侵害をすることを前提とした対応が必要です。

③④は相続人の立場からみた遺留分です。被相続人が亡くなったあとに自身の遺留分が侵害された、という方もいますし、自身が遺留分を侵害している、という方もいます。どちらの方もしっかりとした対応が必要です。

これらの4点は事項以降で詳しく解説いたします。

遺留分を知る

上記の①から④についてのすべてにおいて必要なことは遺留分を知ることです。遺留分を計算しなければ対応できません。そして遺留分を知るには相続人が誰であり、対象となる財産がどの位であるかを知る必要があります。

<遺留分を計算する流れ>

・相続人が誰なのかを確定する→対象財産の額を計算する→遺留分を計算する

注意する点は遺留分の対象となる財産は相続財産(被相続人が亡くなった時点で持っている財産)野m委ではなく、生前に行われた贈与についても対象となる点です。また、遺言書が残されていない場合でも生前贈与が遺留分を侵害するということがある点も見逃さないようにしなければなりません。

遺留分を詳しく知るにはこちら

遺留分を立場別に詳しく見てみましょう。

①遺言書を書くときの遺留分

遺言書に書く内容は法律に従っていればどのような内容でも構いませんが、相続人の遺留分を計算し、可能であれば遺留分を侵害しないような遺言書の内容にすりことが望ましいと考えられています。しかし、どうしても遺留分を侵害してしまう遺言書を書かなければならない事情がある方もたくさんいらっしゃいます。それぞれどのような点に注意すべきでしょう。

遺留分を侵害しないように調整できる場合

相続手続きはよりシンプルな方がトラブルになりません。「遺留分減殺請求権の行使ができる状態」を作りだすことは相続手続きを複雑にします。可能であれば遺留分の侵害が起こらないような遺言書とすることが望ましいでしょう。

遺留分の侵害が起こらない状態は現金や預貯金などの分けることができる財産がある場合に作り出すことが可能です。不動産と預貯金の全てを長男に相続させると二男の遺留分が侵害されそうであると分った場合、二男の遺留分を侵害しないよう、その他の財産と預貯金の一部を二男に相続させることとすれば、自身の死後に遺留分の行使について問題となることはありません。長男には預貯金の全てを相続させることはできませんが、遺留分の問題が起こらない方がトラブルの発生する可能性がグンと減るでしょう。

どうしても遺留分の侵害が起こる場合

例えば財産が不動産しかなく、共有にさせたくない場合などは相続人の一人にすべての相続財産を相続させる遺言書を作成することとなります。様々な事情でこのような遺言書を書かなければならない方は多くおり、その方達はみな遺留分に苦しんでおられます。

しかし、結論から言いますと相続人から遺留分を奪うことはできず、遺留分を侵害された相続人は自己の意思で遺留分減殺請求権を行使することが可能です。これは揺るぎの無い権利であり、遺言書を残す方はこれを受け入れて対策が必要です。

それでは対策方法はどのようなものがあるでしょう。どれも決定的ではありませんが、全くしないよりは効果があるものと思います。

付言事項に理由を記載する

遺言書には「付言事項」と言って、自由な文章を書くことができる欄があります。この付言事項に遺留分の侵害が起こる遺言書となった理由や経緯を説明し、遺留分減殺請求権を行使しないようお願いすることができます。しかし、法的効果はありませんので、相続人を強制することはできません。相続人を説得させる文章力が必要です。

生前に説明しておく

遺言書の内容について相続人に話しをされる方は少数ではないかと思いますが、もしそれが可能であればトラブルのない相続をすることについてとても効果があると思います。遺言書という文章だけでなく、遺言者が自ら語った遺言は法的な効力はなくとも相続人の気持ちには大きな効果を与えます。納得してくれた相続人は生前に遺留分の放棄をしてくれるかもしれません。 


②生前に財産を贈与するときの遺留分

被相続人にとって遺言書を作成するときは遺留分を考慮される方は多くいらっしゃいますが、生前贈与についても多額の贈与をすることで遺留分の対象となる可能性がございます。相続人ではない第三者への贈与も対象となりますし、相続人への贈与も対象となります。とくに相続人への贈与は特別受益としてトラブルを生みやすいものと考えられます。

それでは対策方法はどのようなものがあるでしょう。

遺留分の考慮をしっかりとしておく

生前贈与についての遺留分の計算は意見が分かれる場面が多々発生します。第三者への贈与について、悪意の贈与であるかは遺留分権者が証明しなければなりません。そもそも第三者の贈与は事実関係をつかみにくく争いとなると複雑です。相続人への贈与も特別受益か否かの判断で争いになりやすいでしょう。生前贈与に関する遺留分権の争いは当事者の負担が大きくなりますので、生前贈与が遺留分の対象となることを知っておく必要があります。

多額の贈与はしない

争いをさけるのであれば遺留分を侵害するような多額の贈与は特別な事情があるのでなければ控えることが無難です。遺言書にて遺留分を侵害する場合と異なり、その贈与が特別受益に当るかどうかでも争いになりかねませんし、それが解決しても次は遺留分減殺請求権の行使の問題に発展してしまいます。

特別受益の持ち戻しの免除の意思は意味がない?

特別受益は最終的に相続財産とみなされますが、贈与者が意思表示をしておけば相続財産への持ち戻しをすることなく相続財産を計算することが可能です。しかし、この持ち戻しの免除は遺留分権を侵害することができません。つまり、持ち戻しの免除の意思表示があっても、免除がなかった場合の相続財産から遺留分を計算することとなりますので、持ち戻しの免除の意思は遺留分の解決にはなりません。 


③遺留分が侵害されたことを知ったときの遺留分

相続が開始されたあと、自身の遺留分が侵害されたことを知った相続人は遺留分減殺請求権を行使することが可能です。この時の注意点はどのようなことでしょう。

遺留分の侵害をしっかり調査する

遺留分権の侵害について、どの財産がどの位の額や割合で侵害しているかを知る必要があります。遺留分減殺請求権の請求にて額や割合を示さなければいけない訳ではありませんが、減殺をするには請求の順序や額等をを守らなければなりません。シンプルに遺言書で侵害されている場合はもちろんですが、生前贈与なども考慮しなければならないときも侵害についての事実関係を慎重に調査をする必要があります。

遺産分割の方法によって解決できないか模索してみる

遺留分を侵害されたと主張される方でも良く話しを聞いてみると、遺産分割が可能な財産があったりします。まずはそちらの解決が先ですので、とりあえず相続人同士の協議が必要です。分割の対象にできる相続財産があるような場合は遺留分減殺請求権の行使ではなく遺産分割の方法で遺留分を満たす財産を取得する努力も必要です。

また、遺言書も相続人全員の同意があれば改めて遺産分割協議の対象とすることも可能ですし、遺留分減殺請求権を行使する前になるべく話合いで解決を行う努力で、より円満な相続手続きができたものと言えるでしょう。

内容証明にて意思表示をする

遺留分減殺請求権は意思表示をすれば効力が発生します。この効力は原則として手続きを必要とせずに効力が発生しますので、遺留分権とはとても強い権利と言えます。しかし、口頭で意思を伝えても後に「そんなことは聞いてない」などと言われてしまうと水掛け論です。そのため、遺留分減殺請求権は内容証明郵便で行うことが必要です。

内容証明郵便について詳しくはこちら

時効は最優先

遺留分減殺請求権の時効は「侵害の事実を知った時から1年、または相続開始から10年」です。遺留分の侵害のそれがあるが事実関係の調査が終わっていない場合、まずは遺留分減殺請求権の行使を優先させます。時効にて権利の失効を主張されるとあらたな問題の火種なため、とにかく時効前に権利の行使を行ってください。こんときの請求の内容は包括的なものでも問題ないとされています。

また、相手が複数いる場合や減殺の順序がある場合も注意が必要です。このようなな場合も時効の到来の前に権利を行使する旨の意思表示をすべての相手に送っておくべきでしょう。


④遺留分を侵害していることを知ったとき、請求されたときの遺留分

 自身が他の相続人の遺留分を侵害するだけの財産を得ていた場合、また、他の相続人から遺留分減殺請求権を行使され、財産の引渡しの請求をされた場合はどのように対応すべきでしょう。

財産を正しく評価する

財産にはそれぞれの評価方法があります。不動産にしても売買価格、公示価格、固定資産評価額など、評価の方法は様々です。減殺請求をする方もされる方も財産についての評価をした額が異なっていれば請求の内容も不満が発生します。

まずは相続人同士で遺留分の対象となる財産の評価額を算出し、お互いが納得できるよう努力が必要です。

請求された通りにしなくて良い場合がある?

「遺留分を侵害している不動産の持分の4分の1を請求する」との減殺請求がされた場合、必ずしもその通りにしなければならない訳ではありません。もしその不動産の持分の4分の1に当る金銭があれば、持分ではなく金銭で支払うことも可能です。減殺請求された場合、その請求は既に効力を持ちますので従わなければなりません。しかし、引渡しの方法は請求された側にて選択できますので、慌てずにお金の工面などの対策を行うことも重要です。もちろん請求者との関係も大切ですから、しっかり意図を伝える必要があるでしょう。

財残を隠さない(誠実な対応)

生前贈与などは相続財産などくらべ贈与の事実を隠匿し易いでしょう。だからといってその生前贈与を隠してはいけません。遺留分減殺請求権の時効は「侵害の事実を知った時から1年、または相続開始から10年」です。生前贈与を隠して遺留分減殺請求権を乗り切っても、新たに生前贈与の事実が明るみになればその時点から「侵害の事実を知った時から1年」を主張されかねません。問題の蒸し返しを避けるためにも遺留分減殺請求権に対しては真摯に対応すべきです

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