相続が面倒 放置や手抜きで済ませてしまいたい

<お悩み>

相続手続きとは面倒なものです。家族が亡くなり、ただでさえ悲しく、また忙しい時期なのに、たくさんの書類に判子をついたり、普段は面識のない親類とお金の話しをしなくてはならなかったり、金融機関や登記所の手続きには時間がかかるし… 本当にしなくてはならないのでしょうか?

 

<結論>

相続手続きを行わなくても罰則はありません。また相続人同士の問題ですから、他人に迷惑がかかることも少ないでしょう。そのため、手続き等せず放置でも構いませんし、また言われるがままに判子をついても全く構いません。

 

※注意!相続の放棄や納税は必ず期限までの手続きが必要です。この点はご注意ください。

 

 

<しかし…>

放置でも適当に手続きを済ませてしまっても構いませんが、相続に関心がない方であっても、もしかするとそのことを後から後悔するかもしれません。また良く調べずに行ったことや適当に済ませてしまったために後からトラブルが発生するかもしれません。放置や手抜きをする前に、一応その危険性を知っておいても無駄ではありません。相続手続きは相続人の責任ですので、どのように行うか(行わないか)は相続人次第なのです。以下に危険性と対策をご案内いたしますのでご覧ください。

 

 なお、当事務所はどのような方にも相続手続きをきちんと行うことを強くお勧めしております。 

 

 

相続手続き「放置」の危険性

放置とまでは行かなくても、相続手続きを先延ばしにすることで生まれる不都合があります。以下にいくつかをご紹介いたします。

 

借金を相続してしまう

相続財産に借金がある場合など、相続人は相続放棄をすることができます。放棄をすることで借金の相続は免れますが、放棄をしないと借金も相続します。しかし、この相続放棄は相続が始まってから3ヶ月以内の行わなければならず、迅速な手続きが必要です。

 

 

預貯金などが手に入らない

亡くなられた方の預貯金は、金融機関がその方の死亡を知れば凍結されます。凍結されればいかに相続人であっても然るべき手続きを行わなければ預貯金の引き出しは困難です。

 

 

放置された預貯金が消滅してしまう

預貯金は金融機関に対してお金を引き出す権利、つまり「債権」です。債権は原則として10年で消滅してしまいます。(これを「消滅時効」といいます。) 

実際には10年経過したからといって直ちに金融機関が引き出しを拒むことはありませんが、金融機関が時効消滅を主張されたとしても文句を言うことはできません。

 

 

他の相続人に遺産を奪われてしまう

金融機関の口座は死亡を確認した時点で凍結されますが、もし死亡したことが金融機関に伝わらなければ、凍結されずにそのまま利用が可能です。そのため、他の相続人や他人などが亡くなられた方になりすまして預貯金を引き出すことも不可能ではありません。

 

また、遺産に不動産がある場合、その不動産も相続分に従い相続します。そのため、他の相続人が相続手続きの済んでいない土地や建物に住んでいれば、その相続人に自分の財産を無償で利用させていることになってしまいます。逆に言うとそこに住んでいる相続人は、他の相続人の財産上で生活していることとなってしまいます。どちらの相続人の立場からしても、遺産分割協議を行い適切に手続きをすれば自身の相続した財産は有効に活用できるでしょう。

 

そして、現金や宝石などの高価な動産などは処分や紛失をしても証拠が残りません。放置することで行方が分らなくなっても、不正な消費などを後から証明することはたいへん困難です。

 

 

後々の手続きはもっと面倒

相続を放置してる状態で、さらに重ねて相続人が亡くなってしまうと、相続手続きが2回分重なってしまいます。もちろん2回分を放置でも構いません。しかし、2回目の相続では1回目の相続と事情が異なる場合も多いでしょう。例えば相続人の人数が増えた、意見を違える人が相続人となった、2回目の相続は借金があった、などなど。

2回分の相続について2回目の相続の手続きは、1回目の相続の手続きが終わったあと、もしくは同時に行う必要があります。そうすると嫌でも手続きをしなければならない状況になる可能性もあり、その場合、1回の相続手続きを行うよりも何倍も手間と時間と悩みが増える可能性があります。

 

 

例えば相続人の誰かが認知症に

いつかは手続きを行おうと思いつつ結果的には放置されていた相続手続き。相続人の仲が悪いわけではないし、その気になればいつでもできると思っていても、もし相続人の一人が認知症などになってしまったらどうでしょう。その方に後見人をつけなければ遺産分割協議が行えない場合も出てきます。相続人の中で高齢者がいらっしゃる場合はこのような注意も必要です。

認知症の場合だけでなく、事故などで重い後遺症が残ってしまったりと、お年寄りでなくとも遺産分割協議ができなくなる原因は他にもありますので、「一時的な放置」であっても手続きを進める上では危険性がないとは言えません。

 

 

建物が崩れて他人に怪我をさせてしまった

極端な例ですが、相続手続きをせず共有となったが放置された建物が何らかの理由で崩れてしまい、隣の家や通行人を傷つけてしまった場合、最終的には所有者に責任が回ってきます。住んでもいない、利用してもいない建物についての責任を取るのは不本意です。自身の関わりのない建物であれば早めに遺産分割協議を行い、相続人を決め、管理すべき人が管理するような環境をつくることが得策です。

 

 

 

相続手続き「手抜き」の危険性

題名には「手抜き」としましたが、良く相続のことを知らずに手続きしてしまったり、他の相続人の言われるがままの手続きであったり、自分の意見を言いたくても言えなくての手続きであったり、いろいろなパターンがありますので以下にご紹介いたします。

 

 

面倒なのでいわれるがままに判子をついた

相続手続きを行うに必要となるのが遺産分割協議書です。この書類に遺産分割のことが書かれており、相続人はそこに署名押印をすれば遺産分割協議は成立したこととなります。面倒なので言われた通りに判子をついて、しかし後から自分に不利な内容だったと知っても後の祭りです。このようなケースは良くあることですが、面倒でも自身から少しでも情報を得ることで防げる問題です。

 

 

手続きを他の相続人に完全に任せてしまった

理由はいろいろとあるでしょう。しかし、他の相続人に手続きを全て任せてしまい、自身で情報を得ること無く手続きを進めると、後から後悔してしまうかもしれません。

 

これにはいろいろなパターンがあります。

・相続の法律を知らなかったがために自分が持っている権利を把握できていなかった例、

・相続財産の全体の額を知らなかったために自分の相続できる額が正当かどうか判断できなかった例、

・「長男は家を継ぐ代わりに全てを相続するものだ」と言われ、腑に落ちないがそうゆうものかと判子をついた例、

・面倒だと思い何も考えずに判子をついた例、 などなどです。

 

こちらも自身で情報を得て考えることで遺産分割協議において不利な判子をつくことはありません。「面倒だから」という理由でなければその家の慣習や周りの方の目や意見など、少し抗い辛い理由であるかもしれませんが、相続を知った上での判子と、知らずについた判子では重みが違います。

 

 

口約束で終わらせてしまった

相続の手続きは各種の処理に判子をつかなければなりませんが、ただでは判子はつけません。しかし、「とりあえず判子をくれれば財産の半分をあげるから」と口約束した場合、その約束は守られるのでしょうか。判子をついた書類は物的証拠になりますが、口約束は証拠が残りません。もし約束が守られない場合、当然に約束を守らなかった相続人は非難されるべきですが、残念ながら書面での約束を怠った方にも責任があると言えます。

このようなときは書面で約束を残すことが有効です。幸い相続手続きは「遺産分割協議書を作成する」ことは一般的に認知されているため、普段の約束では切り出しにくい書面の作成も、「相続なのだからしっかりとした遺産分割協議書を作りましょう」、と提案がしやすい環境であると言えます。

 

 

認知症の方の遺産分割協議

相続人の方に認知症などの判断能力が低下している方がいる場合、その方は遺産分割協議ができない状態であるかもしれません。しかし、判断能力が低下しており、文句がでないのをいいことに、遺産分割協議にその方の分まで勝手に署名押印してしまうことは違法です。そのため、その遺産分割協議は無効となります。

たぶん認知症などの本人は、自身の権利が害されたとしても文句が言えない状態なのかもしれません。しかし、、無効の遺産分割協議は誰からでも「無効である」と主張できます。もし、署名押印の部分の違法性を知り、かつその手続きに納得されない方がいれば、その方が無効を主張されるかもしれません。その決着は最終的には裁判です。

裁判まで行くのは極端な例かも知れませんが、本人の意思の存在しない署名押印は無効です。そのことは把握しておく必要があるでしょう。なお、この場合は認知症の方に後見人をつけるなどの対応で遺産分割協議が適法に行うことが可能です。

 

 

相続手続きは意外と難しい

以上のように、相続手続きは放置しても手抜きでも、他人に迷惑はかかりませんので構わないと思います。(ただし納税が必要な場合は期限までの手続きが必要です) 実際に相続手続きをしっかり考えて行っている方は少数であると思います。例えば金融機関に言われて良く分からないから従って判子をついた、不動産の名義変更に必要だといわれ、遺産分割協議書だと知らずに判子をついた、その他にも今住んでいる家はずっと前に亡くなったおじいちゃんの名義のままであるなど。

 

これらの方も現時点で問題になっていないのでそれで良かったのかもしれません。しかし、これからずっとこのまま平穏でいられる保証はありません。法律上のトラブルは後になってやってきます。トラブルがやってきたときは手続きの時点で準備をしていた相続人が有利なのです。

 

人生の中でそう何度もあるわけではない相続手続き。実際に面倒なので放置や適当な処理でも誰も他人に迷惑はかかりません。しかし自分のためにも、なるべく先を見越し、法律を知り、納得できる手続きを行ってみるのも悪くないことだと思います。

 

 

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