遺言書作成の費用の比較〜信託銀行と遺言信託

最近テレビのコマーシャルなどでも耳にする「遺言信託」をご存知でしょうか?金融機関が提供するサービスで、〇〇銀行や◇◇信託銀行など、よく耳にするような銀行や信託銀行などではだいたい取り扱っているようです。しかし、この「遺言信託」は通常の遺言書の作成とどこが違い、どのようなメリットがあるのでしょうか?また費用面ではどうでしょう?こちらのページでは信託銀行など数社の公表されている情報を元に遺言信託を検証し、通常の遺言書の作成と比較してみたいと思います。

「信託」とはどのようなものでしょう

まずは「信託」とはどのような意味でしょう。通常の意味での信託とは以下のようなものです。

「AさんとBさんの契約により、Aさんの財産をBさんに譲渡し、Bさんが管理や運用したその財産による利益をCさんに与えること。」

つまり、Aさん(委託者といいます)がCさん(受益者といいます)のために財産を利用したいとき、そのままで譲渡してしまうのではなく、資金の運用が上手なBさん(受託者といいます)を間に挟むことで、より良い資産の運用ができるというものです。

例えば知的障害を持った子「Cさん」がいる親の「Aさん」は自分が亡くなったときのことが心配です。しかし親のAさんから直接Cさんに財産を譲渡しても、Cさんは自分で管理することができません。このようなときAさんは受託者の「Bさん」に頼み、自身の財産をBさんに譲渡し、自身の亡くなったあとはその財産をCさんのために使って欲しいとの契約を結ぶことが信託です。

Aさんは信頼のおけるBさんに財産を信託することで、安心して資産運用とCさんへの利益の提供ができるということです。

なお、信託は受託者になることを業として(商売として行う)場合は内閣総理大臣の許可を受けた信託銀行などの信託会社でしか取り扱うことはできません。そのため、信託を行う場合は信託銀行は適切な受託者のひとつといえるでしょう。

また、この信託は遺言書にその旨の希望を記載しておけば法的な効力が発生しますので、生前の信託のみでなく、遺言書による相続財産の信託も可能です。遺言信託とは遺言書による信託を設定できるというルールを活用した金融機関独自の金融商品なのでしょうか?

 それでは「遺言信託」とは

それでは金融機関による遺言信託とはどの様なものでしょうか。銀行や信託銀行などの情報を見てみますと各社多少の違いはありますが、遺言信託とは以下のようなサービスのようです。

① 公正証書遺言を作成した際、当該金融機関が遺言執行者となる。

② 公正証書遺言を保管する。

③ 遺言者がご存命の間に定期照会を行う。

④ 遺言者が亡くなられたときに当該銀行が遺言の執行をする。

これらの内容を見ますと、遺言信託という名称ではありますが、実質は信託とは異なる内容のサービスとなっています。通常は誰でも遺言書を残すことができます。また死後の手続きにための遺言執行者を指定することもできますし、遺言執行者は誰がなってもかまいません。遺言信託とは遺言書を公正証書で作成する際に銀行や信託銀行が遺言執行者となり、遺言者が亡くなるまで遺言書を保管し、遺言執行までを行うサービスのようです。

 実は「遺言信託」は誰でもできる内容?

上記のように「遺言信託」とは信託銀行のみが受託者となれる業としての信託ではなく、一般的な公正証書遺言の作成から執行まで流れです。遺言執行者についても特別な金融機関がならなければならない訳ではなく、相続人の一人がなっても良いですし、当事務所のような行政書士がなってもかまいません。

また、公正証書遺言の保管というサービスがありますが、公正証書にて遺言書を作成すると、公証役場にて原本が保管されます。遺言者や遺言執行者が渡されるのは正本や謄本といった写しであり、これらを紛失しても遺言者はいつでも公証役場で写しをもらうことができます。(信託銀行などが公正証書遺言の写しを保管することは遺言執行者として当たり前だと思われますが、わざわざ保管料と取るということは何かしらのサポートが期待できるのかもしれません。定期照会のための手数料としてでしょうか。)

※注意:信託銀行では本来の意味での信託により遺産の管理を行っている場合もあるかもしれませんが、こちらでは「遺言信託」という商品についての考察とさせていただいております。

 費用の比較

以下に幾つかの信託銀行などの遺言信託と僭越ながら当事務所との費用の比較をさせていただきました。提供されるサービス内容の違いもあるのだと思われますが、遺言信託は高額です。信託銀行などからはどの位のサポートがされるかの詳細は公表されていませんのでわかりませんが、場合によっては弁護士などが紹介されるとの案内もありますので、そのための価格設定だと思います。

ちなみに当事務所でも低額ではありますが遺言者さまへのサポートの内容には自身がありますし、また公正証書遺言であるため、最終的にはすべの場合において公証人のチェックも入ります。

   A銀行  B信託銀行  C信託銀行 当事務所 
公証役場手数料 同じ※1 同じ※1 同じ※1 同じ※1
遺言書作成  32万4000円〜  32万8000円  21万6000円  8万6400円〜
保管  6480円/年  6480円/年  6480円/年  なし
遺言執行  100万8000円〜   100万8000円〜  162万円〜  21万6000円〜
※2

※1、遺言書の内容により公証役場への手数料は変わりますが、同じ内容の遺言書であれば同じ手数料の額となります。

※2、任意のサポートであり、お客様の希望により当事務所が遺言執行者を承った場合の料金です。

(各社の標準的なサービスの額を比較しました。)

また、信託銀行などでの遺言信託は「遺言書作成」「保管」「遺言執行」は必ずセットでの商品となっています。しかし、遺言執行者の指定は遺言書の作成において義務ではなく、もし、本来は遺言書を作成することのみが希望の方は遺言執行の費用は不要な出費になってしまうかもしれません。また、遺言執行者は例えば相続人の内の一人がなることもできるなど、特に資格などが必要ではありませんので、信託銀行などがならなくてはならない訳ではありません。

遺言書を作成する場合は遺言執行者を定めることがより良いと思います。しかし、遺言執行者の決め方にも多様な選択肢がありますので、信託銀行などの遺言執行に頼らなければならない訳ではありません。

遺言執行者の仕事はこちら

 遺言信託のメリットとデメリット

それでは金融機関での遺言信託のメリットとデメリットとはどのようなものでしょうか。


<メリット>

・名のある金融機関であるため信頼がおける。

信託銀行などに生前の資産運用などを任せている場合は死後の手続きまでひとつの窓口で手続きできる。

<デメリット>

・費用が非常に高いため自然とお金持ちの方が対象となってくる。(予算の少ない方には負担が大きい。)

信託銀行などが行わなければならない固有のサービスではなく、そこに特別なメリットが感じられない。

 将来の相続の手続きは幅広い選択肢があります

信託銀行などのサービスである遺言信託の内容は金融機関しか実現できない内容のものではありません。本来は一般の方がご自身で手続きできる内容を基礎としたものです。そのため、自身が亡くなったときのための財産の扱いについてを考えたとき、信託銀行などのサービスである遺言信託のみでなく、ご自身のみで遺言書を作成することや、行政書士などの第三者にサポートを受けるなどの選択肢もあり、できるかぎり費用やご自身の考え、体調、そして遺産の内容などを考慮し、より自身に合った手続きやサービスを選ぶことが大切だと思います。

遺言書の作成などに迷った場合はご連絡ください。

当事務所では遺言書の作成に関する手続きのお手伝いをさせていただいております。遺言者の手間をなるべく少なくし、よりご希望に沿った内容の遺言書ができるようお手伝いいたしますので、遺言書をどのように作成するかに迷った場合は一度ご連絡頂ければと思います。

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