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相続のお話を伺ってみると「大丈夫。遺言書は既に書いているよ。」という方が多くいらっしゃいます。その遺言書の多くは自分で書いて保管をしておく自筆証書遺言です。しかしその内容は、遺言書としては有効ではあるのですが、その内容や表現が少し物足りないものがあるように思います。もしかするとその遺言書ではトラブルの回避や、スムーズな遺言執行が上手くいかないのでは…
こちらでは改めて遺言書を見直すポイントをいくつかご紹介いたします。法的に効力があっても実際に実現不可能となってしまうような遺言書ではもったいないですからね。
遺言書は法定の要件を満たせば有効であるため、どのような文章の表現でも効力は変わりません。しかし、文章の表現のしかたや単語の使い方で実務的に大きく違ってきます。いくつかをご紹介いたしますので見直しの参考にしてみてください。
<見直し前>
第○条 遺言者は長男A男に以下の土地を譲り渡す。 (※土地の表記は省略) |
↓
<見直し後>
第○条 遺言者は長男A男に以下の土地を相続させる。 (※土地の表記は省略) |
<解説>
こちらは相続人に遺産をあげたい時です。見直し前の表現でも遺言書としての効力は問題ありません。しかし後の登記や納税の際の手続きをスムーズにするには見直し後の表現に見直す事がお勧めです。
<見直し前>
第○条 遺言者は姪B子に以下の土地を譲り渡す。 (※土地の表記は省略) |
↓
<見直し後>
第○条 遺言者は姪B子に以下の土地を遺贈する。 (※土地の表記は省略) |
<解説>
相続人以外の人へ遺産をあげる事を遺贈といいますので、こちらも見直し後の表現に見直す事でより良い遺言書となると思います。
<見直し前>
遺言者は全財産を孫のC男の遺贈する。 以上 |
↓
<見直し後>
第○条 遺言者は以下の土地を孫のC男に遺贈する。 記 (※土地の表記省略)
第○条 遺言者は以下の遺言者名義の預金債権を孫のC男に遺贈する。 記 (※預金債権の表記省略)
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<解説>
見直し前の「全財産を遺贈する」でも遺言書としての効果はありますので、指定した孫C男に権利は移転します。しかし、この表現では登記や銀行口座の名義変更の際に、遺贈された財産を特定するために相続人全員の申述書などを求められる場合があります。そうすると遺贈に反対する相続人がいた場合は申述書を書いてもらえないため、名義変更ができないという事態が発生するかもしれません。
この事態を回避するため、見直し後の様にひとつひとつの財産をしっかり遺言書の中で特定させておきましょう。
遺言執行者とは自分の代わりに遺言書に記載された内容を実現させる権限を持つ人です。こちらでは遺贈の際の遺言執行者をご紹介いたします。
<見直し前>
第○条 遺言者は以下の土地を甥D男に遺贈する。 (※土地の表記は省略) |
↓
<見直し後>
第○条 遺言者は以下の土地を甥のD男に遺贈する。 (※土地の表記は省略)
第○条 遺言者は遺言執行者として以下の者を指定する。 住 所:(省略) 職 業:(省略) 氏 名:(省略) 生年月日:(省略) |
<解説>
遺言執行者はどのような遺言書でも指定できますので、遺言書を確実に執行したい時は遺言書内に指定しておく事がお勧めです。
今回の例は「不動産の遺贈」です。この場合、登記の際には相続人の全員と受遺者が協力して行わなければなりませんので、相続人の中に遺贈に反対する人がいると登記の手続きが滞ってしまします。しかし、遺言執行者の指定がれば遺言執行者と受遺者にて登記ができますので、より確実に手続きが可能です。
自身で遺言書を作成された方の悩みの種のひとつとして遺言書の保管です。見つかり易いところでは誰かに改ざんされてしまうかも… しかし、自分が亡くなった時には見つかってもらわなければ困ってしまう…
このような時に利用されるのが貸金庫です。しかし、貸金庫を空けるためには相続人全員の立会いが必要であったりとこれもまた大変です。
このような時、遺言書についての見直しのお勧めは二つです。ひとつは公正証書遺言にて作成し直す事。もうひとつは遺言執行者に預けておく事です。公正証書であれば改ざんや紛失の恐れはなくなります。遺言執行者に預ける場合でもその恐れはかなり低減するでしょう。
せっかく遺言書の残すのであれば、やはりより良い遺言書を残したいものです。既に作成した遺言書を見直したい、問題ないか確認したい、遺言書をいちから作りたいなどのご希望の方はお気軽にご相談ください。
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